家や土地などの不動産の購入は、日用品の購入のように気軽に行われるものではありません。人生でも数え切れるほどの機会しかやってこず、だからこそ「不動産の購入方法が分からない」とお悩みの方もいることでしょう。
ここで基本的な流れを説明していきますので、おおよそのイメージを掴んでいただければと思います。
また、購入者にとって費用は重大な関心事です。不動産の取得、そして取得後にかかる税金についてもここで言及します。
購入したい物件や契約の方法、購入の目的など、状況により詳細は異なることもありますが、不動産購入の流れはおおむね次のように進んでいきます。
資金計画を立てることは、今後の人生に予想外の経済的圧迫を生まないためにとても大切なことです。
「策定した資金計画の内容を見せないと家や土地を買えない」というわけではありませんが、衝動的な購入により大失敗を起こさないためには、必須の過程であると捉えておくべきでしょう。
資金計画策定においては、自己資金や収支状況などの現状を整理すること、そして不動産購入で必要になる金銭、諸費用などを整理すること、将来の収入状況や不動産購入から生じるランニングコストを整理することが大事です。
そこからローンの借入可能額を把握し、自分が購入できる不動産の価額の限度をはっきりさせます。
その際、不動産それ自体の価格のほか、各種税金などの諸費用の存在を忘れないようにしましょう。
諸費用といっても、不動産取引においては大きな金額が発生します。
資金計画についての相談をしたいという方は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。
どんな家が欲しいのか、どのような立地を望むのか、購入する不動産の希望条件を決めていきましょう。
具体的に決めることは大事ですが、条件を絞り過ぎてもいけません。
条件を満たす物件がなかなか見つからず、長期に渡り難航するおそれが出てきます。
そのため、まずは絶対に譲れない条件を数個程度出すことから始めましょう。
また、現状のみを基準に考えるのではなく、将来のことも見据えた希望条件の抽出が大事です。小さな子どもがいることを理由に子育てに特化した家を購入しても、10年もすれば子どもも大きくなり、子育て環境は大きく変わります。
さらに10年もすればその家にいなくなっているかもしれません。
子どものことだけでなく、自分が高齢者になったときの過ごし方についても考える必要があります。
希望条件が定まれば、その条件を満たす物件を探し始めます。
インターネットで検索すればすぐに探すことができます。
また、不動産会社などで直接聞けば、ネット検索では見つけられなかった物件を紹介してくれることもあるでしょう。
いずれにしろ、条件に合う物件が見つかれば、実際に現地に行くことが大事です。実際に見てみることで、画面上での印象と違うと感じることもあるでしょう。また、複数の物件を実際に見に行くつもりで物件探しは進めましょう。
何件か見に行くことでチェックすべきポイントも徐々に掴めてきます。
気に入る物件が見つかれば、購入の申込を行いましょう。
その後、代金の支払い、引渡時期の確認などを進めていきますが、ここで重要なのは「重要事項説明」を受けることです。
重要事項説明とは、その名の通り、物件に関する重要な事項を説明することを意味します。
契約書を交付してもその内容を購入者が深く理解しないまま合意してしまうことがありますし、不動産取引を安易に交わしてしまうのはリスクが大きいため、仲介をした宅建業者には重要事項説明を行うことが義務付けられているのです。
重要事項説明を集中して聞き、疑問点はその場で質問をするなどして解消しておきましょう。
この説明を受けた後で、不動産売買契約を交わします。
家や土地の価格は数千万円にも上ります。
現金で支払える方はそうそういないため、一般的には住宅ローンを組むことで対処します。
ローンの契約には、国や自治体が実施する制度を利用する「公的融資」を受けるパターンと、都市銀行や地方銀行、信販会社などのサービスを利用する「民間融資」を受けるパターンがあります。
それぞれ融資を受けるためのハードルや、借入限度額、金利などで差があります。
ローンの審査は、“貸したお金と利息を合わせた額が返済できるのか”という視点で行われます。
そのため住宅ローンの申込をするときは、収入状況が証明できる資料を提出しないといけません。
最後に物件の引き渡しとして、鍵を受け取ります。
ただ、この段階でも気を抜かないようにしましょう。
入居後のトラブルを予防するために、物件の最終確認を入念に行います。
壁や床のキズ、設備等に問題がないかどうか、チェックできるところはすべて確認していきましょう。
また、引き渡し時には仲介手数料や諸費用等の残代金の支払いも必要です。
さらに登記申請も行う必要があります。所有権が自分にあることを公示するための「所有権保存登記」や「所有権移転登記」。そして融資を受ける条件として定められているときには「抵当権設定登記」も行います。
抵当権は、ローンの債務者が支払いをできなくなったときに備えて付す担保権のことです。
物件を差し押さえて、そこから残債務の回収をできるようにするために設定されます。
なお、登記については司法書士に依頼して手続を進めてもらうのが一般的です。
司法書士への依頼費用も予算に組んでおきましょう。
不動産を取得する際、様々な税金がかかります。純粋な取引金額だけを見ていると予算をオーバーしてしまうこともありますので、次に示す税金は考慮した上で予算を組むことが大事です。
印紙税 | ・印紙税法で定められた課税文書を作成するときに課せられる国税のこと ・「不動産売買契約書」「土地賃貸借契約書」「金銭消費貸借契約書」など、多数の課税文書が定められている ※契約書の名称ではなく実質で判断される |
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登録免許税 | ・不動産や会社、人の資格などにつき、登記や登録等を行うときに課税される国税
・不動産取引では、新築住宅を購入するときの所有権保存登記、中古住宅の購入するときの所有権移転登記、ローンを組むときの抵当権設定登記などの場面で課税される ・税率は登記の目的により異なる |
不動産取得税 | ・不動産の取得に対して課税される地方税 ・購入のほか、新築・増改築、贈与などの原因で所有権を取得したときも課税される ・税額は、原則、固定資産税評価額の4% ※所定要件を満たして税負担を軽減することもできる |
消費税 | ・サービスや物品の購入時に課税される国税 ・不動産も消費税の課税対象だが、土地は対象外 ・仲介業者に支払う仲介手数料にも消費税はかかる |
購入時だけでなく、その後継続的に「固定資産税」と「都市計画税」も課税されます。
所有する物件の価値に対応した一定額を毎年納めなければなりません。固定資産である不動産を所有する限り税負担はかかり続けますので、そのことも把握した上で不動産購入を決断するようにしましょう。
なお、税金については特例が利用できるケースも多いため、一度税理士に相談して税負担を軽減する方法について、アドバイスを受けておくと良いでしょう。
相続により遺産を得た方は、相続税の計算を行う必要があります。計算の結果次第では相続税の申告を行い、納税もしなければなりません。
申告をするまでには財産調査や評価を行う必要があり、申告のための資料も集めなくてはなりません。またその前提として遺産分割協議を行っておく必要もあるなど、相続人の方がすべき手続はたくさんあります。
「相続税申告に向けてどんな手続が必要になる?」「何から手をつければいいのかわからない」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
本記事ではこういった疑問が解消できるよう、相続税申告までの流れ、その間に行うべき手続、そして留意すべき申告期限についても解説していきます。
親や配偶者など身近な方が亡くなると、そのときから相続が開始されます。
亡くなった方は「被相続人」と呼ばれ、被相続人の配偶者と子は優先的に相続人となる権利を得ます。
子がいない場合には被相続人の親などの「直系尊属」が相続権を取得し、さらに直系尊属もいない場合には被相続人の兄弟姉妹がその権利を取得することになります。
なお、配偶者は共同相続人が誰であろうと常に相続人になる権利を持ちます。
このルールに従って考えれば、容易に相続人となる人物が見定められるでしょう。
ただ、推測に基づいて相続人を決めつけてはいけません。きちんと公的な資料を用いて相続人となる人物を調査することが大切です。
相続人の調査にあたっては、“戸籍の収集”を進めることになります。
被相続人の戸籍を取得し、その内容を確認することで本当の相続人が調べられます。
もし隠し子がいた場合でも戸籍を確認することで見つけ出せます。
相続人になる正当な権利を持つ人物が参加しないまま遺産分割協議をしても、その協議は無効になってしまいますので注意しましょう。
なお、取得すべき戸籍は被相続人の出生から死亡までの全部です。途切れのないよう、一連になっていることを確認しながら戸籍を集めていかなくてはなりません。
この調査で不備があると後々大変な手間が発生してしまいますので、専門家に依頼するなどして調査を進めてもらいましょう。
相続税は、最終的に各相続人の取得分に応じて計算しますので、納税額も各人で異なります。
そこで相続人が複数いる場合には、遺産分割協議の結果によって相続税も変動することとなります。
ただ、どんな遺産があるのかわからないまま遺産分割を行うことはできません。
そこでまずは“遺産の調査”から始めます。
基本的には被相続人が所有していたあらゆる財産が相続の対象です。
そこで様々な財産が存在している可能性を考えつつ、遺産の存在を調べていなくてはなりません。
まず着手すべきは“被相続人の自宅の捜索”です。
自宅に現金があることが多いですし、腕時計や宝石など高価な物も見つかるかもしれません。また、預貯金や有価証券、負債等に関する資料も自宅に保管されているケースが多いです。
自宅を捜索して、どの金融機関と取引があったのか、残高はどれほどあるのか、といったことを調べていきます。
遺産分割協議に先立って、遺言書が作成されていないか、確認しておく必要があります。
遺言書がある場合、原則としてその内容に従って遺産を分割することとなりますので、遺産分割協議の進め方も変わってきます。
もし「すべての財産は配偶者に渡す」との記載が遺言書にあった場合、遺産分割協議で分け方を悩む必要もなくなります。
※相続人全員の同意に基づいて、遺言内容とは異なる遺産分割を行うことも可能
相続財産には土地や建物、株式などが含まれていることもあります。
これらを取得して相続税の計算を行うには、各財産の価値が数値で示されている必要があります。そのために“相続財産の評価”を行います。
例えば土地の場合、路線価が定められている宅地であれば、路線価方式に従い評価を行います。
このように各財産の種類や状況に応じて評価方法は決まっています。とはいえ誰が評価しても同じ結果になるとは限りません。土地の状態をよくチェックし、減価要因を突き止めることができれば、その分を算定に組み入れて評価額を下げることもできます。
ただ、この評価を一般の方が行うのは難易度が高いです。
脱税を疑われてもいけませんし、節税効果を得つつも正確な評価を行うためには、税理士などのプロに任せることが推奨されます。
当事者となる相続人、分割の対象となる財産が明らかとなり、その評価も終えれば、遺産分割協議を始めます。
誰がどの財産を受け取るのかを決めることとなりますので、親族間の関係性が良好でない場合には揉める可能性もあります。
逆に普段からコミュニケーションを取っており、親密な仲にある場合にはスムーズに話し合いを進められるでしょう。
トラブルが予想される、トラブルを予防したい、という場合には相続に強い専門家にアドバイスを受けておきましょう。
すでに対立関係にあり和解を目指す場合には弁護士に依頼して対応してもらいましょう。
遺産分割協議を終え、各人の取得分が確定すれば、ようやく相続税の計算ができるようになります。
また、相続税の計算とは別に各財産につき名義変更を行う必要があります。
取引先金融機関にて手続を行い、名義を変更しておきましょう。不動産を取得した場合には登記申請を行う必要があります。
相続税の申告は、申告書を作成してこれを提出する形で行います。
そのため申告書を作成する必要があります。
申告書は国税庁のHPからダウンロードできます。記載例が載っているフォーマットも閲覧できますし、自分で申告書を作成することも不可能ではありません。
ただ、申告漏れや計算ミスが生まれやすいため、相続財産の評価から申告書の作成までをできるだけ税理士に任せたほうが良いでしょう。
申告書が作成できれば、添付書類とともに税務署にこれを提出します。
添付書類として、少なくとも被相続人との血縁関係を証する書類と本人確認書類が求められます。血縁関係を示す書類として戸籍謄本を、本人確認として印鑑証明書を用意すれば問題ありません。
提出先は“被相続人の最後の住所地を管轄とする税務署”です。申告をする方のエリアを基準とはしませんので注意しましょう。
自宅から遠く離れた税務署に提出しなければならないケースもありますが、郵送により提出することも可能です。
直接提出する時間が取れない方なども、郵送で提出すると良いでしょう。
また申告期限にも注意しなければなりません。
相続税の申告・納税の期限は“相続が開始したことを知った日の翌日から10ヶ月以内”です。
「相続開始から10ヶ月」と説明されることが多いですが、厳密には“相続開始を知った日の翌日”が起算日となります。何らかの事情で相続開始、つまり被相続人が亡くなったことをしばらく知らなかったのであれば、その期間分申告期限は相続開始日からずれることになります。
相続税が掛かるなら、亡くなる前に子や孫に贈与していまえと考える方も多いでしょう。
しかし、贈与には当然「贈与税」が課税されます。しかも、贈与税は相続逃れを防止する為に高い税率が課されてします。
しかし、生前贈与は相続対策として有効な手段です。上手く活用することで、親族間の争い防止に効果を発揮したり、相続税の納税額を下げることに効果を発揮したり、様々な恩恵が得られます。
ただ、間違った方法で財産を渡してしまうと「名義預金」であるとの評価を受けて、相続税の対象となってしまう恐れがあります。
この記事で生前贈与と名義預金の関係、対策について解説をしていきますので、ぜひ参考にしてください。
生前贈与とは、ある方(贈与者)が亡くなる前にする贈与を指します。
亡くなってからする贈与は遺贈となり、相続対策上は、生前贈与と大きく性質が異なります。また、遺贈も行わず相続により財産を渡した場合とも異なります。
生前贈与は相続対策としてよく用いられている手法です。
特に相続税対策の観点から採用される例が多く、上手く生前贈与を行うことにより相続税を抑えることもできるのです。
そのうちもっとも基本的なやり方が「暦年贈与」です。
贈与税は暦年課税という制度が採用されています。暦年課税とは、その年1月1日から12月31日までを課税期間として、その年1年間で贈与を受けた額を翌年に納税する制度になります。
ポイントは贈与税にも一定の非課税金額が決められています。その金額は1年間に110万円までなら贈与税が課税されずに済みます。
その仕組みを利用して年間110万円以内に抑えて贈与を行うのです。一気に贈与をしてしまうと結局贈与税が課税されてしまい、相続税よりも大きな税負担を負うことになってしまいます。
そのため生前贈与をするにしても税制をよく理解して慎重に進めていく必要があるのです。
税制上、財産の移動などは実質面で判断されます。
相続税対策を進める上ではこのことを覚えておかなくてはなりません。
例えば贈与税などもかからないようにするため、初めから子どもの名義で預金口座を作っておいたとしても、実質そこに預金を入れて管理しているのが親であるならば、親の財産として税金の計算をされてしまいます。
「名義が違うから」など、形式上の表示だけを根拠に主張をしても課税を避けることはできないのです。
この観点からよく問題となるのが“名義預金”です。
名義預金とは、「実際に管理運用しているのと、預金口座の名義人が異なる名義を借りただけの預金」のことです。
これが相続税では問題になります。名義を移しただけの預金口座になってしまうからです。
金融機関からすると財産の持ち主は名義人となるかもしれませんが、税務署が同様に考えてくれるとは限りません。
生前贈与をしていたつもりが、名義預金として扱われ、贈与になっていなかったという事態も起こり得ます。
実質面での評価ということで、生前贈与なのか名義預金なのかの判定も簡単ではありません。形式的画一的に見極めることができないからです。
そこで次のポイントに着目して判定をしていくと良いです。
・ 資金源はどこなのか
・ 誰が口座を管理していたのか
・ 名義人は預金の存在を知っているのか
「口座に入っている預金はどこから来ているのか」が見られます。
資金源が名義人ではなく亡くなった方である場合、それは名義預金として判定されやすいです。
名義預金の問題は親子の関係のみならず、配偶者間でも起こりやすいです。夫がお金を入れていた場合、その預金が妻名義であっても、名義預金として扱われやすいです。
「口座の通帳は誰が保管しているのか」「カード、印鑑などの保管をしているのは誰なのか」も見られます。
これらをすべて名義人が保管していたのなら名義人が自由に預金を使うことができますので、名義預金としての判定を受けにくくなります。
他方、亡くなった方がすべて保管しており名義人が自由に使える状態になかったのなら、名義預金との評価を受けやすくなるでしょう。
名義人の財産であるなら、通常はその財産が自分のものであることの認識があるはずです。
そこで「名義人が預金の存在を知っているのか」「名義人に、贈与を受けたという認識があるのか」という点も見られます。
名義人である子や孫などに渡すつもりであったとしても、勝手に預金をしていただけでその人物の所有物とはなりません。
もっと細かいことを言うと、名義人が、贈与契約により被相続人から財産をもらったということの理解をしていることが大切です。
名義預金と評価されると相続税の課税対象となり、相続人に負担がかかりますし、実質渡すことができる財産が少なくなってしまいます。
そのため生前贈与として認めてもらえるよう、次のような対策を打っておきましょう。
・ 贈与契約書の作成
・ 通帳や印鑑は名義人の管理下に置く
・ 名義人が預金を自由に使えるようにしておく
・(複数の口座を開設して複数人に贈与したい場合)それぞれ異なる銀行印を使って開設する
・(年間110万円を超える場合)贈与税の申告をする
名義預金対策の1つである「贈与契約書の作成」は注意して進める必要があります。他の対策に比べて法的知見を要し、専門性が高いためです。
まず、契約書の記載事項として、①贈与をする旨、②贈与者および受贈者の氏名と住所、③贈与する財産の金額などの詳細、④贈与契約の締結日は最低限明記しておきましょう。
また、各当事者が自らの意思で契約を締結したことが証明しやすいよう、契約書には署名をしておくことも大切です。
当人らの合意があれば契約自体は有効ですし、署名がないと契約書が無効になるわけでもありません。しかし契約の有効性につき争いが生じると、署名の有無が結果を左右する可能性が高くなります。署名自体大変な作業ではありませんし、最後に一筆サインすることを忘れないようにしましょう。
契約書の作成に不安がある、難しいと感じる場合には、躊躇せず専門家に相談すべきです。費用はかかりますが、それ以上の節税効果が得られればコスト面で問題にはなりません。「将来的にすべて無効になってしまわないだろうか」という不安も専門家への依頼により払拭することができます。
また、“どのように生前贈与を行うと高い節税効果が得られるのか”ということに関してもアドバイスが受けられます。相続税や贈与税についての疑問がある方は、税理士事務所への相談をおすすめします。
相続のことを理解する上では「相続人とは何か」「被相続人とは何か」ということの理解が欠かせません。
それぞれの権利や義務、なることのできる人物など、ここで整理しておきましょう。
まずは被相続人について説明していきます。
被相続人とは亡くなった人のことであり、遺産となった財産を所有していた人と言い換えることもできます。
亡くなることによりその方の財産等は配偶者や子どもなどの親族が取得することになります。そのため一定の人物は遺産等を“相続する”ことになりますが、亡くなった当人からすれば逆に“相続される”ことになります。そのため“被”相続人と呼ばれているのです。
被相続人になったということはすでに亡くなっておりますので、そこからアクションを起こすことはできません。しかし被相続人になることを見越して遺言書を作成しておけば、自らの意思を家族等に伝えることはできます。
そして遺言書を使ってできることは多岐にわたります。
代表的な使い道は「遺産の分割方法等の指定」です。
遺言書がなくても相続人らの話し合いや法定相続分に基づいて遺産分割することは可能ですが、遺言書でその方法を指定することができます。
例えば「財産Aは配偶者に、財産Bは子に」といった形で指定することもできます。誰か1人に全財産を渡す旨記載することもできます。ただ、遺言書の内容次第では親族間でトラブルが発生することもありますので、専門家に相談しつつ偏り過ぎない内容で指定することが望ましいです。
続いて相続人について説明していきます。
相続人は、被相続人の権利義務を引き継ぐ人のことです。
“相続をする”人であり、財産のみならず相続人の権利や義務なども、一身専属のものを除いてその一切を引き継ぐことになります。
例えば現金や預貯金、家、土地、自動車などはわかりやすい相続財産です。借地権などの権利も相続対象になります。逆に負債も相続人は受け継ぐことになりますので、被相続人が借金を抱えていた場合には注意が必要です。
一身専属のものとは、その人だからこそ意味を持つものを指し、例えば「親権」「国家資格」「年金受給権」「雇用契約上の権利」などが該当します。これらは相続人でも引き継ぐことはできません。
相続人に関して、「法定相続人」や「推定相続人」という表記を見ることもあるでしょう。
意味に大きな違いはないのですが、法定相続人は「民法上規定されている、相続権を有する人」のニュアンスで呼ばれることが多いです。
これに対して推定相続人は「相続が開始されたとき、相続人となる可能性の高い人」のニュアンスで呼ばれることが多いです。そのため、推定相続人に関しては相続開始前に使われることの方が多いです。
配偶者は常に相続人になることができます。
子がいる場合には、配偶者と子が相続人になると考えられます。
被相続人の親に関しても相続人になれる可能性はあるのですが、子がいる場合には相続人になれません。
兄弟姉妹は、被相続人に子または親がいる場合には相続人になれません。
被相続人との関係性が近いほど相続人になれる可能性が高くなり、養子であっても相続人になることはできます。
被相続人の身近な人であっても相続人にはなれないことがあります。
例えば「養子縁組していない配偶者の連れ子」「離婚をした元配偶者」「子の配偶者」「内縁の妻や夫」などです。
一緒に生活をするほど事実上の関係性は近かったとしても、相続人にはなれません。ただし相続人ではない第三者に対しても遺言書を使って財産を渡すことは可能です。
また、「相続欠格にあたる人」「相続の廃除をされた人」「相続放棄をした人」については相続権を失っていることを理由に相続人にはなれません。
このように、被相続人を死亡させたり(欠格事由)、被相続人に虐待を加えていたなどの理由で家庭裁判所に申立をされたり(廃除)、自ら相続権を捨てる(相続放棄)ことなどによって相続人としての立場を失うケースもあるのです。
なお、欠格や廃除が認められる事由は他にもあります。
被相続人との続柄により、相続人の優先順位や取得割合が決まります。
例えば被相続人の子は第1順位にあたり、優先的に相続人としての権利を得ることができます。これに対し被相続人の親などは第2順位、兄弟姉妹は第3順位であり、上位に位置する人物がいるときには相続権を得ることはできません。
※配偶者は常に相続権を得るため、「子と配偶者」「親と配偶者」「兄弟姉妹と配偶者」などと様々な組み合わせで相続人になれる
そしてこの順位は法定相続分にも影響します。
配偶者に加え、第1順位である子が相続人になる場合、子の法定相続分は「1/2」となります。つまり子全員で遺産全体の1/2を取得することができるのです。
子ではなく親が相続人になる場合、法定相続分は「1/3」。親でもなく兄弟姉妹が相続人になる場合、法定相続分は「1/4」となります。
相続人になることができるといっても、得ることのできる具体的な権利は被相続人との続柄に応じて変わってくるのです。
とはいえこの規定は強制されるものではありません。全員の合意があれば遺産分割協議にて法定相続分と異なる取得割合にすることも可能です。
遺言書に従って相続財産を与えることを「遺贈」と呼びます。この遺贈により財産を取得したときにも課税がありますので、遺言書を作成する方・遺贈により財産を取得する方の双方は税制についても知識を持っておくことが望ましいです。
ここで遺贈に関する基本的な税制上のルールを説明していきます。
相続が開始されると、被相続人が有していた財産は、被相続人の配偶者や子といった相続人らに承継されます。
収入を得たときに所得税が課税されるのと同様、相続により財産を得たときには「相続税」が課税されます。
遺贈の場合、一般的な相続による承継とは少し性質が異なります。当事者が契約を交わしたわけではありませんが、被相続人が遺言書を作成しており、その意思に従って特定の人に財産の所有が移ります。遺言書によって財産を取得した人を受遺者といいます。遺産分割協議を経ることなく、受遺者は財産を得ることとなるのです。
遺贈は相続人以外の人に対しても行うことができますので、本来相続に関与することのない人物に渡っています。
ただ、遺贈により取得した財産にも相続税が課税される点では変わりありません。
そのため相続人であるかどうかは問われず、遺言の効果として財産を引き継いだのなら相続税を無視することはできません。
なお、贈与税は生前に受け取った財産にかかる税です。
生前贈与により金銭に換価できる何かを被相続人から受け取っていたのであれば贈与税が問題となりますが、遺贈については贈与税ではなく相続税が問題となります。
遺贈だからといって納めるべき相続税を把握するのに特別な計算方法を要するわけではありません。
そのため①遺産総額の把握、②法定相続人の把握、③基礎控除額の計算、④相続税の総額の計算、⑤取得割合に応じた相続税の配分、⑥各人の税額控除を適用、といった流れに沿って納税額を計算していくことになります。
しかしながら遺贈の場合、相続人以外が受遺者になっていることも考えられます。このときでも基礎控除額の計算において法定相続人の人数に含めてはいけません。ただ、取得割合に応じた相続税の配分においては相続人以外の受遺者についても含めることとされています。
その他、正確な税額を知るには複雑な計算を要しますので、詳しくは税理士に相談することが大切です。
遺贈に関しては、「受遺者が特定の相続人以外である場合には税額が2割加算となる」「不動産取得税がかかることがある」「不動産の名義変更で登録免許税の負担も必要」という点に注意する必要があります。
被相続人の配偶者や子、父母以外に関しては、相続税を2割増しで納税しなければならない場合があります。
そのため受遺者が相続人以外である場合はもちろん、相続人であっても被相続人の孫や兄弟姉妹である場合には2割加算して納税額を算出しなければなりません。
遺言書を作成する本人としてもこのことを理解の上、相続対策を設計していくことが大切です。
受遺者が相続人以外であって、特定遺贈として不動産を取得したときには、当該不動産に関しては「不動産取得税」が課税されます。
特定遺贈とは、“譲り渡す財産を具体的に特定した上で行うタイプの遺贈”を言います。
他の遺贈のタイプとしては、“譲り渡す財産の指定をすることなく相続財産の割合で指定する”包括遺贈もあります。
そのため「全財産の半分はAに譲る」とする内容であれば包括遺贈にあたり不動産取得税は問題とならないのですが、「この建物をAに譲る」とした場合には特定遺贈にあたり、このAが相続人以外の第三者などである場合には不動産取得税が課税されることとなります。
なお不動産取得税に関しては、「取得した不動産の課税標準額×税率」の計算式で税額が算出されます。
遺贈により不動産を取得したとき、不動産取得税のほか、登録免許税の負担もしなければなりません。不動産取得税がかからないときでも不動産の所有者となる場合には登録免許税の負担は避けられません。
なお、不動産の名義変更でかかる登録免許税については「固定資産税評価額×税率」の計算式に従って算出されます。
相続税や不動産取得税など、遺贈に係る課税に関しては控除や税負担を軽減する特例などが利用できるケースもありますので、一度税理士に相談してみることをおすすめします。
相続税対策はいつからでも始められます。そして気が付いた時点で早めに取り組めばそれだけできることは増えます。具体的な節税方法、そして納税負担に関する対策について解説していきますので、この記事を参考に将来起こる相続に向けて準備を進めていきましょう。
相続財産のうち、現金・預貯金の割合が多くなければ、相続人が納税に対し大きな負担を負うことになってしまいます。そこで、財産の中に預貯金はいくらあるのか、現金でなくても、上場株式のような換金性が高い財産はあるか、といったことを把握しておきましょう。
そして納税額の試算を行い、納めるべき相続税が今のままで賄うことができるのかどうか、事前に確認しておくことが大切です。
特に相続財産として家や土地がある場合には要注意です。価額が大きい財産ですし、これら不動産は用途が限られています。そのため相続税の納税額が大きくなり支払うことができないという事態が起こり得ます。
そこで、納税額が減らすという観点のみならず、「納税資金を用意する」という対策も欠かせません。
被相続人となる方が事前にできる相続税対策としては、“不動産の売却”が挙げられます。手間のかかる作業ですし、これをあらかじめ行っておくことで相続人の納税資金の準備ができます。また、不動産の扱いに困るという事態も避けることができます。
納税資金の準備に向けて財産を売却するのは有効な手段の1つですが、売り急いでしまうと低い売却価格で処分してしまうこともあります。
特に不動産に関しては一般的にすぐに売れるものではありませんし、期間的な余裕をもって取り組むことが大切です。
相続人側での事後対応策となりますが、“融資を受ける”ことで納税資金を準備することも可能です。売却したくない財産がある、家にそのまま住み続けたい、といったニーズを満たしつつ納税資金を準備することができます。
ただ融資を受けるときには、借り入れに際して付される金利が相続税を延納したときの利子税より低くある必要があります。金融機関によって金利は異なりますし、融資を受けることで損をしてしまう可能性もありますので要注意です。
相続税対策の王道は“生前贈与”です。
相続税が掛かるなら、亡くなる前に子供や孫にあげてしまえ、と考える方も多いでしょう。
これは相続税を軽減することができる有効な手段です。なぜなら相続財産が少なくなれば当然相続税は少なくなるからです。
しかしこの行為は贈与となり贈与税が課税されてしまいます。贈与税は相続逃れを防止する為に高い税率が課されてしまいます。
生前贈与を行うときには相続税と贈与税のバランスを考慮しなければなりません。
贈与税の課税は暦年課税を採用しています。暦年課税は1月1日~12月31日までの1年間を課税期間として贈与された総額で課税します。
贈与税の課税を避ける簡単な方法は、「年間110万円の範囲で贈与を行う」という方法です。
贈与税における基礎控除額は年間で110万円です。これは贈与を受けた方1人1人に与えられています。
ただし、相続開始直前(相続開始前3年以内)に行われた贈与については110万円以下であろうと相続税の計算に含まれますので要注意です。相続が予期されたからといって急いで贈与を行っても意味がないケースがあります。
また、名義預金とみなされる場合があるので注意が必要です。
名義預金とは、例えば相続人の口座であっても実際に管理運用しているのは被相続人である場合をいいます。カードや印鑑は被相続人が管理していて相続人はその口座の存在も知らないといったケースがあります。
この場合は、被相続人の財産とみなされて相続税が課税されてしまう事になります。
なお、親や祖父母などから、住宅の取得資金・教育資金・結婚や子育ての資金を受けた場合には、一定額の範囲で110万円を超えても非課税という特例が設けられています。こうした特例も活用していけば相続税を大きく下げることは可能です。
相続財産自体を減らしていくという方向性で対策を取るのが生前贈与です。
これに対し、相続税の計算上、財産の評価額を下げることで納税額を減らすというやり方もあります。
効果の大きい主な手法として以下3つが挙げられます。
1. 小規模宅地等の特例の利用
2. 不動産を購入する
3. 不動産の活用方法を工夫する
4. 墓地や祭壇を購入する
「小規模宅地等の特例」とは、一定条件を満たす自宅や事業用の土地につき、相続税評価額が大幅に下げられるといった内容の特例です。とても節税効果が大きいため、宅地等がある場合にはこの特例の適用可否について検討することが欠かせません。
特例の適用については、申告期限までに申告しなければなりません。また、適用には複数の要件が存在する為、事前に確認しておくことをお勧めします。
近年、生前に不動産を購入する節税対策が多く行われています。特に代表的な方法はマンションを購入する方法です。マンションの購入がなぜ節税になるかというと、建物と土地の評価に関係があります。一軒家の場合は、その所有する土地が評価対象となります。それに対しマンションは複数の世帯が1つの土地を共同で区分所有することになりますので、一世帯当たりに所有する面積が少なくなり評価額が低くなるというのがマンション購入におけるスキームです。
ただし、相続発生後にすぐ売却したりすると明らかな租税回避行為とみなされて評価額を再計算させられる事があるので注意が必要です。
建物を賃貸用とした場合、固定資産税評価額から一定割合を引いて評価してもらうことができます。
土地を所有している場合も、その土地上に賃貸用の建物があれば借地権および借家権の分を考慮した評価額とすることができます。
使われていない不動産を、賃貸用にすることで建物、土地の評価額を下げることが可能です。
収益性とのバランスも考慮しつつ、不動産の活用について検討すると良いでしょう。
墓地、霊びょう(仏壇等)、祭具は相続税の非課税財産とされています。
生前に現預金をそれらの財産に変えてしまうのは、1つの相続対策と考えられています。
ただ、あまりに高額な仏具(金の仏像)などは、投資目的と考えられ非課税とならない場合がございますので注意が必要です。
課税遺産総額は、相続財産から基礎控除額や非課税財産を差し引いて算出されます。
基礎控除額から見ていきましょう。
そもそも相続財産の総額が基礎控除額を超えなければ相続税は課税されません。そして相続税に係る基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。つまり、法定相続人の数が増えるほど基礎控除額は増え、相続税も小さくなるという仕組みになっているのです。
非課税財産に関しても同様に考えることができます。
課税遺産総額を大きく減らすことができる非課税財産の例として、“生命保険の非課税枠”や“死亡退職金の非課税枠”が挙げられます。いずれも「500 万円×法定相続人の数」で算出することができます。
そのため、法定相続人の人数を増やすということは様々な観点から相続税の負担を軽減する方向に寄与するということです。
肝心の法定相続人を増やす方法ですが、“養子縁組を行う”という方法があります。
ただし養子縁組で際限なく節税効果を高めることはできません。相続税の計算上、実子がいる場合には養子は1人まで、実子がいない場合でも養子は2人までしか法定相続人として扱うことができません。
これ以上の人数がいる場合でも相続人となり遺産分割を受けることはできるのですが、基礎控除額の計算などにはカウントできないということです。
身内の方が亡くなると相続が開始され、遺産はその遺族である相続人に分配されます。そのため相続人にとっては、相続は財産を取得する機会になるともいえます。しかし相続による財産取得時には相続税のことも忘れてはいけません。
相続の仕事をしていた経験の中で、いつも納税者の相談は、「父親(又は母親)が亡くなって右も左も分からない。が、どうやら相続税の納税があるようだ」といった内容が多くありました。こうした不安を持つ方に向けて、相続税とは一体何なのか、基本的なことをここで解説していきます。
被相続人(亡くなった方)の夫や妻、子などは相続人となり、相続が開始されたときから、被相続人が持っていた財産及び債務に関するすべての権利義務を受け継ぐことになります。一身専属の権利等(運転免許や医師免許、弁護士や税理士などの資格)に関しては別ですが、基本的にはあらゆる財産及び債務を相続人の間で分配していくことになります。
しかし相続人は財産を受け取ることができるだけでなく、その価額に応じた相続税の課税により、納税の義務が課せられることもあります。相続税とは資産の再分配を目的とした税であり、大きな財産には大きな税率を適用するという累進課税制度が採用さられています。
相続税は「贈与税」の関りも深い税です。
贈与税とは「贈与により取得した財産を対象」とした税です。本来相続時に課税の機会が設けられているところ、これを生前にすべて贈与することで課税を逃れることができてしまいますので、それを防ぐために贈与税が設けられているのです。つまり「相続税の補完税」と言われています。
ただ、贈与自体が悪いことではありませんし、むしろ早期に子や孫世代に財産を移すことで経済的にプラスの効果も働きます。そこで後に相続税の計算に含めて精算する「相続時精算課税制度」も創設されており、余分な納税を避けつつ贈与が可能になる仕組みもできています。
それでは相続税に関する基本的なルールについて、かんたんに紹介していきます。
相続税の納税が必要になる場合、相続税の計算をして税務署へ申告しなければなりません。
しかしあらゆるケースで申告および納税の義務が課せられるわけではありません。
様々な控除制度がありますので、遺産の額から控除額を差し引いてゼロになれば納税分はなくなり、申告の必要もなくなります。
そして常に適用される控除に「基礎控除」があります。
「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算され、遺産の総額がこの基礎控除額以下であればその時点で相続税について考慮する必要はなくなります。
基礎控除額以上の遺産があったとしても、各人の取得分や各人利用し得る控除によって納税の必要がなくなることもあります。相続税の計算は複雑ですので申告対象であるかどうか、納税額の大きさを知りたいときには税理士に相談することをおすすめします。
相続税の申告が必要な場合、「相続があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に申告をしならないとされています。なお「相続があったことを知った日」は通常、被相続人の亡くなった日となることが多いでしょう。
10ヶ月と聞くと余裕があるように思えるかもしれませんが、遺産分割協議など多数の手続を進行しつつ相続税の申告手続も進めていかなくてはなりませんので、早急に進めていくことが大切です。
相続税の申告書は「被相続人の死亡のときにおける、被相続人の住所を管轄とする税務署長」に提出しなくてはなりません。
納税義務者である相続人自身の住所地を基準に考えるわけではないため留意しましょう。
相続税が課税される財産は、原則として、相続や遺贈により取得した財産すべてです。
例えば被相続人が持っていた家や土地などの「不動産」、自動車や家具などの「家庭用財産」、「現金」、「預貯金」、「有価証券」などが挙げられます。
被相続人が個人事業主であったのなら、その事業の用に供していた財産が「事業用財産」として、また中小企業の役員等であった場合に、その法人に出資していた金額は「取り引き相場のない株式」として相続対象かつ課税対象です。
このほか「相続が開始される前3年以内に贈与された財産」や「相続時精算課税に係る贈与により取得した財産」にも相続税がかかりますし、「生命保険」などは、純粋な遺産ではないものの相続や遺贈により取得したものとみなされる財産もあります。