家や土地などの不動産の購入は、日用品の購入のように気軽に行われるものではありません。人生でも数え切れるほどの機会しかやってこず、だからこそ「不動産の購入方法が分からない」とお悩みの方もいることでしょう。
ここで基本的な流れを説明していきますので、おおよそのイメージを掴んでいただければと思います。
また、購入者にとって費用は重大な関心事です。不動産の取得、そして取得後にかかる税金についてもここで言及します。
購入したい物件や契約の方法、購入の目的など、状況により詳細は異なることもありますが、不動産購入の流れはおおむね次のように進んでいきます。
資金計画を立てることは、今後の人生に予想外の経済的圧迫を生まないためにとても大切なことです。
「策定した資金計画の内容を見せないと家や土地を買えない」というわけではありませんが、衝動的な購入により大失敗を起こさないためには、必須の過程であると捉えておくべきでしょう。
資金計画策定においては、自己資金や収支状況などの現状を整理すること、そして不動産購入で必要になる金銭、諸費用などを整理すること、将来の収入状況や不動産購入から生じるランニングコストを整理することが大事です。
そこからローンの借入可能額を把握し、自分が購入できる不動産の価額の限度をはっきりさせます。
その際、不動産それ自体の価格のほか、各種税金などの諸費用の存在を忘れないようにしましょう。
諸費用といっても、不動産取引においては大きな金額が発生します。
資金計画についての相談をしたいという方は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。
どんな家が欲しいのか、どのような立地を望むのか、購入する不動産の希望条件を決めていきましょう。
具体的に決めることは大事ですが、条件を絞り過ぎてもいけません。
条件を満たす物件がなかなか見つからず、長期に渡り難航するおそれが出てきます。
そのため、まずは絶対に譲れない条件を数個程度出すことから始めましょう。
また、現状のみを基準に考えるのではなく、将来のことも見据えた希望条件の抽出が大事です。小さな子どもがいることを理由に子育てに特化した家を購入しても、10年もすれば子どもも大きくなり、子育て環境は大きく変わります。
さらに10年もすればその家にいなくなっているかもしれません。
子どものことだけでなく、自分が高齢者になったときの過ごし方についても考える必要があります。
希望条件が定まれば、その条件を満たす物件を探し始めます。
インターネットで検索すればすぐに探すことができます。
また、不動産会社などで直接聞けば、ネット検索では見つけられなかった物件を紹介してくれることもあるでしょう。
いずれにしろ、条件に合う物件が見つかれば、実際に現地に行くことが大事です。実際に見てみることで、画面上での印象と違うと感じることもあるでしょう。また、複数の物件を実際に見に行くつもりで物件探しは進めましょう。
何件か見に行くことでチェックすべきポイントも徐々に掴めてきます。
気に入る物件が見つかれば、購入の申込を行いましょう。
その後、代金の支払い、引渡時期の確認などを進めていきますが、ここで重要なのは「重要事項説明」を受けることです。
重要事項説明とは、その名の通り、物件に関する重要な事項を説明することを意味します。
契約書を交付してもその内容を購入者が深く理解しないまま合意してしまうことがありますし、不動産取引を安易に交わしてしまうのはリスクが大きいため、仲介をした宅建業者には重要事項説明を行うことが義務付けられているのです。
重要事項説明を集中して聞き、疑問点はその場で質問をするなどして解消しておきましょう。
この説明を受けた後で、不動産売買契約を交わします。
家や土地の価格は数千万円にも上ります。
現金で支払える方はそうそういないため、一般的には住宅ローンを組むことで対処します。
ローンの契約には、国や自治体が実施する制度を利用する「公的融資」を受けるパターンと、都市銀行や地方銀行、信販会社などのサービスを利用する「民間融資」を受けるパターンがあります。
それぞれ融資を受けるためのハードルや、借入限度額、金利などで差があります。
ローンの審査は、“貸したお金と利息を合わせた額が返済できるのか”という視点で行われます。
そのため住宅ローンの申込をするときは、収入状況が証明できる資料を提出しないといけません。
最後に物件の引き渡しとして、鍵を受け取ります。
ただ、この段階でも気を抜かないようにしましょう。
入居後のトラブルを予防するために、物件の最終確認を入念に行います。
壁や床のキズ、設備等に問題がないかどうか、チェックできるところはすべて確認していきましょう。
また、引き渡し時には仲介手数料や諸費用等の残代金の支払いも必要です。
さらに登記申請も行う必要があります。所有権が自分にあることを公示するための「所有権保存登記」や「所有権移転登記」。そして融資を受ける条件として定められているときには「抵当権設定登記」も行います。
抵当権は、ローンの債務者が支払いをできなくなったときに備えて付す担保権のことです。
物件を差し押さえて、そこから残債務の回収をできるようにするために設定されます。
なお、登記については司法書士に依頼して手続を進めてもらうのが一般的です。
司法書士への依頼費用も予算に組んでおきましょう。
不動産を取得する際、様々な税金がかかります。純粋な取引金額だけを見ていると予算をオーバーしてしまうこともありますので、次に示す税金は考慮した上で予算を組むことが大事です。
印紙税 | ・印紙税法で定められた課税文書を作成するときに課せられる国税のこと ・「不動産売買契約書」「土地賃貸借契約書」「金銭消費貸借契約書」など、多数の課税文書が定められている ※契約書の名称ではなく実質で判断される |
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登録免許税 | ・不動産や会社、人の資格などにつき、登記や登録等を行うときに課税される国税
・不動産取引では、新築住宅を購入するときの所有権保存登記、中古住宅の購入するときの所有権移転登記、ローンを組むときの抵当権設定登記などの場面で課税される ・税率は登記の目的により異なる |
不動産取得税 | ・不動産の取得に対して課税される地方税 ・購入のほか、新築・増改築、贈与などの原因で所有権を取得したときも課税される ・税額は、原則、固定資産税評価額の4% ※所定要件を満たして税負担を軽減することもできる |
消費税 | ・サービスや物品の購入時に課税される国税 ・不動産も消費税の課税対象だが、土地は対象外 ・仲介業者に支払う仲介手数料にも消費税はかかる |
購入時だけでなく、その後継続的に「固定資産税」と「都市計画税」も課税されます。
所有する物件の価値に対応した一定額を毎年納めなければなりません。固定資産である不動産を所有する限り税負担はかかり続けますので、そのことも把握した上で不動産購入を決断するようにしましょう。
なお、税金については特例が利用できるケースも多いため、一度税理士に相談して税負担を軽減する方法について、アドバイスを受けておくと良いでしょう。